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◇東宇和消防本部◇(愛媛)

 

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愛媛県の西南部に位置する明浜町、宇和町、野村町及び城川町の四町で構成される東宇和は、人口四〇、一三七人、面積四七三km2に及ぶ広範囲な圏域を管轄している。
宇和海に面する明浜町は豊かな自然美を誇るリアス式海岸に恵まれ、ハマチや真珠の養殖が盛んで柑橘類の栽培にも適し、これらは町の主要産業となっている。
宇和町は、名水百選に選ばれた観音水、愛媛県歴史博物館、文化の里として開明学校や申義堂の他、多くの史跡や文化財があり、町並みに往時の宿場町の面影を留めている。また、神経痛などによく効く低張性アルカリ性”文治が駄場冷鉱泉”「ユートピア宇和」は、オープン八か月で入浴者一〇万人を突破している。
野村町は酪農と養蚕が盛んで、牛乳は県総生産量の三一%、シルクは七%を占めている。一一月の乙亥大相撲にはプロの幕内力士をはじめ、国体有名選手等の往来が盛んであり、初場所幕内東二枚目で活躍している玉春日関は当地の出身である。
城川町は特産のしいたけ、粟の他、特に森林資源が豊富で、良質の木材生産が盛んである。四国の名刹龍澤寺、五九か所に保存され集会や信仰の場となっている茶堂、奇祭として知られるどろんこ祭りが有名である。
消防本部は昭和五三年四月発足一本部一署一文暑、四三名の職員が、二〇分団、一、五三三名の消防団員とともに防災の任に当たっている。

 

♪「ぬくもり」を大切にして
人口流出等により高齢者率が二六%を超える当地では、二つの東消といわれる東宇和消防署と東宇和郡消防団連合会が中心となり、「ぬくもり消防行政」を推進している。これは、亀田消防長自らが会長を務める東宇和少年婦人防火委員会等との連携のもと、地域住民と一体となっての取組みであり、年末には少年消防クラブ防火もちつき大会(写真)でついた餅をクラブ員が独り暮らしのお年寄り宅に配るなど、”ぬくもり”のある防火指導を展開している。
また、愛媛県主催の防火ポスターコンクールでは、当地の小字生の作品が二年連続で最優秀賞に選ばれており、幅広い層での防火意識の浸透が伺える。

 

♪「対語と協調」を実践
「どこをどうすればもっと良くなるか。常に問題意識を持って職務に当たってほしい。」と職員に望む亀田消防長は、全職員を予防広報、原因調査などの六つの係に配置し、消防隊員と兼務させることによって、あらゆる消防事象に対応できるオールマイティな職員養成をめざしている。
また、中・長期等財政計画、広域再演強化などの当面する重要課題については、職員を委員とした一三の専門委員会を設け、広く意見を聴き検討を加えることによって、職員個々が持つ加減と経験を消防施策に反映している。まさに消防長がモットーとする「対話と協調」の実践である。

 

♪二一世記を見据えて
平成一五年に予定されている四国横断自動車道や宇和島〜宇和高規格道路の開通に向け、今年度、救助工作車II型が配備され、さらに平成一〇年度には高規格救急軍が導入される予定である。昨年度、すでに消防指令システムのコンピュータ化を完了し、急速に消防防災施設の近代化を図る東宇和消防本部であるが、「基本は人。地域住民の生活に密着した消防行政をより積極的に推進し『安心して生活し、働けるまち・東宇和』の実現に、全消防職員、消防団員が力を一つにして取り組んでいきたい。」と話す亀田消防長の目には二一世紀を見据えた並々ならぬ決意が感じられた。(杉本栄一)

 

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